イブラヒモってどんな紐?

逢塚 東小路のエッセイ集。日々 是 脱力。

信長とわたし

いつか見た夢の話である。

唐突に戦国時代にタイムスリップしたわたしは、織田信長に仕えていた。まさに夢らしい展開だ。

聡明な信長はわたしが未来の人間だということをごく自然に受け容れたし、わたしが彼の最期を知る唯一の存在だということさえも理解していた。

信長は「この先どうなるのデアルカ?」と直接に問うことはしない。ただ、自分自身の一挙手一投足が、これから先の運命をどう動かすのかには大変な興味があったらしい。

信長はわたしの表情を伺った。

食事中、ちらちらと目線を投げかけてくる。箸を手に取り、次に何を食べるといい?と言わんばかりに飯碗に手を伸ばして、ちらりと見る。やはりそれを止めて、次は芋に箸を伸ばすと、またちらり。

(いやぁ、それは…)

食べたものと本能寺の変との因果関係なんてわかりっこない。

わたしはややうつむいて視線をそらし、終始、曖昧な態度をもってその場を濁すしかなかった。

苛烈な性格で知られる信長の手前、いつ機嫌を損ねて刃先を突き付けられるかと冷たい汗を背中に感じた…そんな夢の中の話。